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⑪「ちょっとした思いやり」(H29.7.19)

 私は大学進学・就職で一時期ふるさとを離れたことはありましたが、広島で生まれ育ち、長くこの地で仕事をしてきました。広島は、世界初の原爆投下によって町は壊滅状態に陥り、「70年は草木も生えないだろう。」と言われた中で、戦後めざましい復興を遂げ、現在は人口約120万人の中四国地方最大の都市に発展しました。「真の平和」が問われる今、私は、イデオロギーに囚われることなく、“被爆都市ヒロシマ”を決して風化させてはならないと強く思っています。

 かなり前になりますが、ふるさとの広島市内電車に乗っていた時の出来事です。

 修学旅行のシーズンを迎えたのか、電車の中などで修学旅行中の子どもたちの姿をたびたび見かけていた頃のことです。その日も平和公園からたくさんの小学生が電車に乗り込んできて、車内は足の踏み場もないくらいの混雑になりました。次の目的地は宮島(日本三景の一つ)なのでしょうか、しばらく下車する様子はありません。電車が進むにつれて少しずつ席が空き始め何人かの子どもたちも座ることができましたが、ある電停で、杖をついたお年寄りが乗ってこられました。電車が走り始めてしばらく経った時、一人の子どもが誰に言われるのでもなく、自分から席をゆずりました。お年寄りは笑顔でその席に座り、ゆずってくれた子どもに感謝しながらいろいろと話しかけています。そして、周りの子どもたちも笑顔でお年寄りとの会話を楽しんでいたようでした。ちょっとした一言、あたたかい思いやりの気持ちからお年寄りとのふれあいが生まれ、子どもたちにとって修学旅行の良い思い出がまた一つ増えたことでしょう。

 その光景を見ていた私自身もとてもさわやかな気持ちになりました。『お年寄りや身体の不自由な方等には席を譲ろう』~電車やバスの中でよく見かける言葉です。それらは、車内でのマナーの一つですが、都会では最近はなかなかそんな場面に出会うことが少なくなってきました。ちょっとした温かい気持ちがあれば、例えば、電車やバスの中の光景も少しは違ってくるのではないかと思うのです。先ほど紹介した光景では、一人の子どものお年寄りに対する思いやりの気持ちが、席を譲るという形で自然に出てきたのだと思います。マナーやルールを教えることは大切なことですが、その前にあたたかい思いやりの気持ちを育てることも必要なことなのではないでしょうか。

 そして、これは子どもたちにだけに要求するものではなく、私たち大人にも求められているものだと思います。

思いやりは心と心のコミュニケーションです。 自分のしたことを喜んでくれる人がいて、本当に良いことをしたと実感がもてる、そうした人とのつながりの積み重ねによって、さらに思いやりの心が育っていくと思うのです。

  次回は、「権力に勝った人権」を取り上げます。            副村長:森重俊幸

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